遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

驟雨と日照の間で(院試日記 117,118日目)

生活リズムが狂う日、すなわち朝寝坊する日に限って可燃ゴミの日なのは何かの因縁なのだろうか。まあこれは単なる言い訳に過ぎない。第一、多少遅く起きてもごみ収集車はまだ来ていないのだから。来週1週間は大阪市内の博物館で朝から研修だというのに、これでは実習をすっぽかしかねない。いやはや、気をつけたいものである。

ここ最近、基本的には晴天ながら突然雨が降ることが多い。先日など郵便局に行くまでのわずかな時間に運悪く驟雨に見舞われた。昨日はに買い物に出ようとしたが、気象レーダーが雨雲の接近を告げていたのを確認してやり過ごした。ただでさえ感染症に対して戦々兢々としているのに、これではおちおち外にも出られない。
さて最近スーパーに置いてある「賃貸マグネットアパート」というガチャガチャをたまに回している。これはアパートの壁面を模した磁石であり、並べればなかなかリアルかつ可愛らしいインテリアとなる。以前は信号機のガチャガチャを回していたことを考えるとこういう類のグッズにぼくが弱いのがよくわかる。ところで昨日は2つ目の階段パーツを引き当ててしまった。普通の壁面が欲しかったなぁ……と思いつつ、なるほど企業の戦略に乗ってしまった気がした。金銭を使うことは一時的な幸福をもたらすが、貯蓄なくして今後の安寧はない。ちょっと気をつけようと思った。

今日の記録
英語演習 1h4m
独文解釈 2h
独語演習 1h12m
美術史(ルネサンス1) 1h27m
計 5h43m

涼を求めてシベリウス(院試日記 116日目)

昨日は夜眠れなかったので朝に仮眠をとって活動した。眠気は残るが午前中に勉強を始められたのでよしとしよう。
日中は研修に必要な学研賠の申請をしたのち研究室に置いていた本を取りに行き、ついでに図書館で本を借りた。パノフスキー、ヴェルフリン、ゴンブリッチ、それからドヴォジャーク(ドヴォルシャック)である。一度に読めるはずはないのでちょこちょこ読むつもりだ。そういえば同じDvořákでも美術史家の方は「ドヴォルシャック」表記が多い一方、作曲家の方は「ドヴォルザーク」表記が多いのは何故なのだろう。最初に普及した媒体の表記によるのだろうか。関係ないが宮澤賢治は「ヅヴォルジャク」と書いていたのも思い出す。

一応今日から9月ではあるが気温が下がる気配はない。少し歩けば額に汗が滲む。そんな中でトートバッグの中に厚い専門書を入れて移動するのはなかなかの重労働であった。家に帰ると手持ちのシベリウス:交響曲第6番を片っ端から再生した。大した数ではないが実は手持ちの交響曲全集はシベリウスとニルセンが多分一番多いため、そこそこ聴き比べができるのだ。
こういう先入見はあまりよくないが、やはりシベリウスの音楽は冬を知っている人のそれだと思ってしまう。これはシベリウスが北欧フィンランドの生まれということのみならず、ぼくが高校時代、昼休みにシベリウスの5番第3楽章を聴いていたらちょうど初雪が舞ってきたというあまりに美しい記憶に引き摺られている部分も否定できない。外はまだまだ夏だが、せめて気分だけでも涼しくなりたいものである。

今日の記録
美術史史 1h33m
独語演習 1h1m
美術史(ルネサンス1) 2h13m
英語演習 1h15m
計 6h2m

やっと尻に火がついた感じがする(おそい)。

そして夏が終わる(院試日記 106-115日目)

米澤穂信はぼくの好きな作家のひとりである。その中でも特にお気に入りの作品が『夏期限定トロピカルパフェ事件』。

夏期限定トロピカルパフェ事件 - 米澤穂信|東京創元社

かわいらしい表紙を纏いつつここまで苦くざらざらとした読了感を抱かせるとは、なかなかにしんどい作品である。そして夏の終わりを思う時、ぼくはいつもこの作品のラストシーンを思い出すのである。その描写は「甘い見た目をした猛毒」というこの本全体の印象と呼応して強い印象をぼくに残しているのだ。

さて明日から9月に入るこの日にようやく独文和訳の参考書『独文解釈の秘訣』2冊を1周した。本当ならもっと早く終えている予定だったのだが後悔しても仕方がないのでこれでよしとしよう。ドイツ語と西洋美術史はこの先復習に徹するとして、日本美術史と美学のさわりをつらまえておかねばならない。今月は博物館実習もあるためハードになりそうだが、着実にこなしたいところ。日記の更新も滞っていたが悪あがきの記録がてら毎日書いていこうと思う。
果たして院生になれるのか—

今日の記録
独文解釈 1h25m
美術史史 2h46m
美術史(ルネサンス1) 1h30m
計 5h41m

出願(院試日記 103-105日)

研究概要と志望理由書を書き終え、20日に無事出願書類を送付した。ひとまず受験前にやるべきことは終えたことになる。プレッシャーに弱いが故、出願したその日は何度も吐き気に見舞われ、口から胃液混じりの泡を吐き、その後泥のように眠った。机の周りには参考資料が散らかっている。とても人が住む環境ではない。その影響は今日まで残り、昼までたっぷり寝てしまった。

さて、研究概要を書き終えた今すべきことは院試の最後の追い込みである。やることとしては
・美術史の復習
・美術作品をよく見る
・英語文献を読む
・独文法の確認
・独文和訳の継続
・日本美術と美学の知識を総覧
あたりだろうか。加えてまだ薄い内容の研究概要を補強するために先行研究を丁寧に読み込もうと思う。
あと1ヶ月。落ちるかもしれないがその時はその時。せいぜい足掻いてみるつもりだ。

本日は研究概要ごときで燃え尽きてしまった。

無駄足(院試日記 98-102日目)

研究概要をあらかた書き上げ、レポートを終わらせてなんとか一息つけそうである。
さて去る日曜日にエンゲルスの『住宅問題』が必要となり、図書館に借りに行くことにした。大学図書館は休みな上に返却を滞納したせいで数日間貸し出し禁止のペナルティを食らっており、どこか他の図書館に行く必要があった。便利な時代になったもので、カーリルを使えば近隣の図書館の蔵書を一括で検索できる。すると、国立民族学博物館にあることがわかった。ぼくはモノレールの駅まで自転車を漕いだ。

国立民族学博物館、通称民博は大阪北部、吹田市万博記念公園内に立地する。博物館という名前ではあるが正式には大学共同利用機関であり、博物館を持つ研究所である。その所蔵品は世界各地から収集した資料である。個人的にその資料で注目すべき点として観光化する以前の民俗資料を大量に含む点、現在の事象も積極的に取り上げている点を挙げたい。トーテムポールとガムランの楽器群とアフリカの仮面とドイツの家具とアイヌの家と毛沢東肖像画とフィリピンの乗合バスが同じ屋根の下に展示されている空間はぶらぶら歩くだけでも圧倒されるしお腹いっぱいになる。
さて、なぜぼくは本を借りにきたのに展示を満喫しているのか。
図書館が休みだったからである。

まさか日曜日に図書館が休みだとは思わなかったのだ。HPは確認していたのだが休館日を見落としていた。いやはや、行き当たりばったりで行動するのはよくない。
弊学は民博のキャンパスメンバーズに加盟しているため無料で入館できる。ただ、モノレールはバカみたいに高額なのだ。最寄駅から万博記念公園駅まで350円。参考までに阪急なら神戸三宮まで行ける値段である。展示を見たので700円をドブに捨てた訳ではないのだが、本来の目的を果たせなかったのは辛いところ。とりあえず地元松本電鉄の超高額料金のことを考えて心を落ち着かせることにした。

エンゲルスについては結局翌日図書館でコピーを取った。しかし別の読みたかった本が借りられていた。早め早めに行動しないとなあ…とつくづく思う。

【記録(にもなっていない)】
大体1日3時間文献をまとめて2,3時間概要を書いている。そんな感じ。

米が尽きた(院試日記 84-97日目)

ご無沙汰しております。
集中講義やらレポートやら院試の研究概要やらでてんやわんやしていたら2週間も更新をしていなかった。いまいちど「日記」の意味を新明解国語辞典かなんかで引き直した方が良さそうだ。
大学で成績証明書と卒業見込み証明書を発行し、振込依頼書に院試の検定料の記入事項を書き込み…と必要事項をこなしているうちにいよいよ院試が現実のものとなっていることを感じて体が震えてしまった。一番困っているのは志望理由書である。大学院に進学したい理由は一つには学部までの研究ではまだ足りないということ、もう一つにはゆくゆくは研究職であれ学芸員であれ美術史に関与する仕事に就きたいということであり、A41枚を埋めることが可能なのか、という点で少々考えてしまっている。まあ大事なのは研究概要と試験の方であり、内部生の志望理由をそこまで見るとも思えないのであるが…

そんなこんなで今週は文献を読んではそれをまとめて研究概要を書いて過ごしていた。こんな代わり映えのしない毎日なので次第に生活する気力も衰え、食事が簡素になってきた。具体的に言うと豚丼と焼きそばという、豚バラとカット野菜のみでできる料理と市販のパスタソースをかけたスパゲティのみが食卓に並ぶ有様となったのだ。そして米が終わるのに気づかずに使い切ってしまった。米は親が仕送りで送ってくれるのでそれに頼っており、今回ももうすぐ米がやってくるので買い足すわけにもいかない。
そういうわけで暫く僕の食事は焼きそばとパスタになる予定である。米が待ち遠しい。

今日(8/13)の記録
独語文献 55m
英語文献 42m
研究概要 3h45m
計 5h22m

再起(院試日記73-83日目)

ここ1週間あまり、心がしんどかったのでほぼ勉強ができていません。いやほぼ言い訳になるといえばそうなのだが。
連休で講義がないのも災いして完全に昼夜は逆転し、部屋は少しずつ荒れ、そんな状態なのにほぼ4ヶ月ぶりに演奏会に出かける始末。正直もうこの先どうでもいいや、堕落するところまで堕落してしまえ、とさえ思ったりした。
加えて参加必須のガイダンスをうっかりすっぽかした。もともとしんどかったところにそれは追い討ちをかけた。自業自得と言われればそれまでではあるのだが。

大学院を志望したのはぼくの意志であり、そのための勉強を苦痛に思うのは本来おかしな話なのだ。研究がしたい、というのは建前で本当は単にモラトリアムを延長したいだけなのではないか?と思うことも屡々ある。結局凡人であるぼくが一廉の者になろうとすれば並以上の努力を要するのに、それさえできないとは。

正直に今の気持ちを述べれば何からも逃れて1、2週間ほどどこかに籠りたい。ただこの夏はそうもいかないだろう。ぼくはここから立ち直らねばならないのである。

今日(7/30)の記録
独語予習 1h10m
独文解釈 1h27m
独語論文 1h46m
計 4h23m