遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

いくら投げても外す輪投げゲーム

嵐にJAM、という曲がある。

この曲は2004年に発売されたグループ4枚目のアルバム「いざッ、Now」に収録されている。2004年の嵐というと確か今ほどの人気は無かった頃である。そしてアルバム名もなんだかふざけたような印象だが、収録されている楽曲の中には音楽的に素晴らしいものもある。”JAM”はその筆頭だと思うし、何なら個人的に嵐のすべての曲の中でも一、二を争う名曲だと思う。

 

さて、何が素晴らしいか。まず曲から見ていく。

結論から言うと、この曲は驚くべきことにアシッドジャズといえる。イントロのベースは後のSuchmosが書いたと言っても信じそうだし、リズムや楽器法はまるでジャミロクワイである。特にサビでストリングス(の音のシンセ)が入るところなんてCosmic Girlさながらではないか。まだ20歳そこそこのアイドルが歌うとは思えない気怠げで大人な音楽なのである。ちなみに作曲したのはスウェーデンのグループだったり、レコーディングでドラムを担当したのはオマー・ハキムだったり色々特徴のある曲でもある。

 

歌詞はジャニーズへの楽曲提供の多い久保田洋司であるが、これがまたいい。

内容としては好意を伝えようとすると女の子にはぐらかされ続けているために、友達以上恋人未満みたいな関係をだらだら続けている男の話である。

歌詞を引用するとJASRACが怖いので興味があったら調べてみてほしい。特に2番Aメロ〜Bメロにかけての「今」の畳み掛け、Cメロの輪投げの比喩。一歩間違ったらただダサいだけになりかねない歌詞だと思うのだが、これは良く出来ている。

最後に。Jamという単語には「(果物から作る)ジャム」、「難局に立つ」、「楽しむ」、「困る」、「妨害」…と複数の意味があるが、サビの歌詞はこの多義性をうまく利用している。タイトルも様々に読めるのである。

 

柄にもなく男性アイドルグループのアルバム曲について語ってしまったが、まあぼくもかわいい女の子に弄ばれたい人生であった。