遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

ステンハンマル記録帳

保有するヴィルヘルム・ステンハンマル(ステーンハンマルとも)作品のディスコグラフィ的なものです。気が向いたら随時説明・感想も書いていきます。内容について、ほぼ個人の感想となっていることはご了承ください。

なお作曲年はhttps://www.swedishmusicalheritage.com/composers/stenhammar-wilhelm/ を参照しました。

スウェーデンノルウェー演奏家が多いのですが、不正確なカナ表記になっているものも多くあるかと思われます。ご指摘があればお寄せください。

 

交響曲

交響曲第1番ヘ長調(1902-03)

ステンハンマルの1作目の交響曲だが、のちに本人により撤回されているため作品番号はない。作風としては随所にドイツ音楽からの影響を感じさせるものの(ホルンを6本使用した編成や第2楽章の途中のコラール風の楽句などはブルックナー的だ)、後の作品を予感させるような純朴さや荘厳さも兼ね備えるように思える。

交響曲第2番ト短調 Op.34(1911-15)

正確にはGを開始音とするドリア旋法。本人が認めた交響曲はこちらのみのため、手持ちの楽譜を見ると単に「Symphoni Op.34」と書かれている。500ページにわたる対位法研究の成果が反映された「華美とは無縁の、謹厳実直な音楽」は、堅実ながら緊張感のある傑作といえる。彼の友人であるジャン・シベリウスがおよそ10年後に発表した《交響曲第6番》には同じくドリア旋法が使われている。この曲がステンハンマルに献呈されているのは偶然か意図的か。

おすすめ盤は1983年のネーメ・ヤルヴィ/ヨーテボリ響。

 

交響曲第3番(断片)(1918,19?)

7ページの自筆譜のみが残る。輝かしい楽句と静寂で緻密な音楽が織り交ぜられた断片を聴くと、これが完成していたら―と思わずにはいられない。

 

協奏曲

ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.1(1893)

4楽章制の堂々たるピアノ協奏曲である。23歳の頃の作ということになり、なるほどその楽句はブラームス(例えば《ピアノ協奏曲第2番》、《悲劇的序曲》など)の影響を感じずにはいられないが、その単なる亜流というにはあまりに惜しい作品である。中間楽章の優美な旋律、或いは終楽章のちょっぴり皮肉なフレーズはどうだろう!作曲家でありピアニストであった彼の才能が存分に発揮された作品ではないだろうか。

おすすめ盤は1992年のマッツ・ヴィトルント/ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ロイヤル・ストックホルムフィルハーモニー管。

 

ピアノ協奏曲第2番ニ短調 Op.23(1904-07)

ステンハンマルは友人のシベリウスやニルセンの影響もあってドイツ風の音楽から「北欧」へと転じることとなる―とされる。一説によればシベリウスの《交響曲第2番》はその決心の原因になったらしい。確かにこの《ピアノ協奏曲第2番》の終楽章へのアタッカを聴くと些か類似している。とはいえ「誰々の作品と似ている」という語り口でステンハンマルを語るのはあまりに野暮であろう。4つの楽章はアタッカで接続され、ピアノとオーケストラが協和したような素敵な作品である。

おすすめ盤は1992年のグレタ・エリクソン/エフゲニー・スヴェトラーノフ/スウェーデン放送響。

 

ヴァイオリンとオーケストラのための2つの感傷的なロマンス Op.28(1910)

 

管弦楽作品

フローレスとブランセフロール Op.3(1891)

プレリュードとブレー(1891)

2つの歌 Op.4(1893)

序曲「エクセルシオール!(天の高みに昇らん!)」 Op.13(1896)

ストックホルム博覧会のためのカンタータ(1897)

イタカ Op.21(1904)

一つの民族 Op.22(1905)

管弦楽と合唱のためのスウェーデン狂詩曲「冬至祭」Op.24(1907)

セレナーデ Op.31(1908-13,19)

レヴェレンツァ(1911-13)

もともと《セレナーデ》の第2楽章。

アウグスト・ストリンバリの「夢幻劇」への音楽 Op.36(1916)

組曲「ロドレッシの歌」 Op.39(1919)

劇付随音楽「チトラ」Op.43(1921)

交響的カンタータ「歌」 Op.44(1920-21)

交響的カンタータ「歌」 Op.44より間奏曲

劇付随音楽「ロメオとジュリエット」Op.45からの組曲(1922) (Hiding Rosenberg編曲)

 

室内楽作品

弦楽四重奏

弦楽四重奏曲第1番ハ長調 Op.2(1894)

  • フレスク四重奏団 Musica Sveciae 1982年

弦楽四重奏曲第2番ハ短調 Op.14(1896)

弦楽四重奏曲第3番ヘ長調 Op.18(1900)

  • ゴトランド四重奏団 Musica Sveciae 1982年

弦楽四重奏曲第4番イ短調 Op.25(1909)

  • ゴトランド四重奏団 Musica Sveciae 1981年

弦楽四重奏曲第5番ハ長調「セレナーデ」 Op.29(1910)

  • フレスク四重奏団 Musica Sveciae 1981年

弦楽四重奏曲第6番ニ短調 Op.35(1916)

 

その他室内楽作品

アレグロ・ブリランテ

  • パトリーク・スヴェドルプ(Vn.)、インゲガール・キェルケゴール(Va.)、ヘレナ・ニルソン(Vc.)、ルチア・ネグロ BIS Records 1992

アレグロ・ノン・タント(1895)

  • パトリーク・スヴェドルプ(Vn.)、ヘレナ・ニルソン(Vc.)、ルチア・ネグロ BIS Records 1992

ヴァイオリンとピアノのためのソナタイ短調 Op.19(1899-1900)

  • ターレ・オルソン、ルチア・ネグロ BIS Records 1992


ピアノ作品

アレグロ・コンモート・エド・アパッショナート(1988-89)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

即興曲(1892)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

3つの幻想的小品集 Op.11(1895)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992
  • 千尋 LIBRO 2009年

ピアノソナタ変イ長調 Op.12(1895)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

即興的ワルツ(1895)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

3つのピアノの小品(1895)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

間奏曲(1898)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

晩夏の夜 Op.33(1914)

  • ルチア・ネグロ BIS Records 1992

  • イレーネ・マイハイマー Sterling 1989年

 

更新履歴

2020/06/23 ページ開設

2020/06/24  
《ヴァイオリンとオーケストラのための2つの感傷的なロマンス》にヘニング・クラッゲルード/ビャルテ・エンゲセット/ダラ・シンフォニエッタ(2011)盤を追加。

2020/11/22

《ヴァイオリンとオーケストラのための2つの感傷的なロマンス》にトビアス・リングボリ/ニクラス・ヴィレン/スウェーデン室内管弦楽団(1997)盤を追加。

弦楽四重奏曲第3番》、同《第4番》の項を作成。ゴトランド四重奏団(1981/1982)盤を追加。

弦楽四重奏曲第5番「セレナーデ」》の項を作成。フレスク四重奏団(1981)盤を追加。

弦楽四重奏曲第6番》の項を作成。コペンハーゲン弦楽四重奏団(1981)盤を追加。

2020/12/23

《劇付随音楽「チトラ」》にネーメ・ヤルヴィ/ヨーテボリ交響楽団(1989)盤を追加。

2021/02/03

《ピアノ協奏曲第1番》に丹千尋/渡辺新/オーケストラ・ナデージダ(2009)盤を追加。

《3つの幻想的小品集》の項を作成。丹千尋(2009)盤を追加。

2021/03/11

交響曲第2番》、《序曲「エクセルシオール!(天の高みに昇らん!)」》にペッター・スンドクヴィスト/ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(1993)盤を追加。

2021/03/15

ストックホルム博覧会のためのカンタータ》の項を作成。トマス・ダウスゴー/ストックホルム放送交響楽団他(1996)盤を追加。

《一つの民族》の項を作成。グスタフ・シェークヴィスト/スウェーデン放送交響楽団他(1991)盤を追加。

2021/04/03

交響曲第2番》にスティグ・ヴェスタルバリ/ストックホルムフィルハーモニー管弦楽団(1978)盤を追加。

《プレリュードとブレー》、《イタカ》の項を作成。ハンヌ・コイヴラ/イェヴレ交響楽団他(2008)盤を追加。

フローレスとブランセフロール》、《セレナーデ》、《交響的カンタータ「歌」より間奏曲》にハンヌ・コイヴラ/イェヴレ交響楽団他(2008)盤を追加。

2023/08/28

ピアノ協奏曲第2番》にアンデシュ・シルストローム/ハンヌ・コイヴラ/イェヴレ交響楽団 (1994)盤を追加。

《ヴァイオリンとオーケストラのための2つの感傷的ロマンス》にアーヴェ・テレフセン/スティーグ・ヴェステルバリ/スウェーデン放送交響楽団(1971)盤、アンデシュ・シルストローム/ハンヌ・コイヴラ/イェヴレ交響楽団(1994)盤、ペール・エノクスン/広上淳一/ノールショピン交響楽団(1993)盤を追加。

《交響的カンタータ 「歌」》にシェール・インゲブレトセン/スウェーデン放送交響楽団(1981)盤を追加。