遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

文系大学院(文学部・文学研究科)受験記録

世の中にあんまり文学研究科の院試体験記ってないなあ、と思ったので記録しておきます。半分は自己顕示欲の塊みたいなもんですが、半分は不安に駆られて「文学部 院試 勉強」などと検索した人を想定して書いています(自分がそうだった)。ちなみに専門分野は西洋美術史です。

 

ドイツ語

弊学の場合、西洋美術史を受験する際は独仏伊西露のどれかが必須です(英語は分野別の試験に内包)。大学院入試では来年数行程度の独文和訳が3題出されています。

当方、第2外国語として1、2回生の頃に週3回ドイツ語の講義を受けていたはずなのに成績は芳しくなかった上にすっかり忘れていたのでほぼ初歩からやり直しました。

まず3月下旬頃から基礎文法を『しっかり身につくドイツ語トレーニングブック』(ベレ出版)でさらい直しました。

怠惰な学生なので2ヶ月程かけてやっと1周しました。問題数が多いため多少根気は必要ですが、量をこなす事で文法がいやでも定着していくので初心者には有難かったです。

その後は試験内容を意識して『独文解釈の秘訣Ⅰ,Ⅱ』(郁文堂)を使って短めの文章の和訳に取り組みました。

独文解釈の秘訣―大学入試問題の徹底的研究 (2)

独文解釈の秘訣―大学入試問題の徹底的研究 (2)

  • 作者:横山 靖
  • 発売日: 2000/01/01
  • メディア: 単行本
 

1970-80年代の大学入試からの抜粋なので時代を感じますが(東京教育大がまだある)、他に独文解釈の良さげな参考書が分からなかったので選択しました。訳はこなれすぎてますが訳出のコツやフレーズが纏まっているのは助かりました。まずはドイツ語を書き写して辞書を引きながら丁寧に1周し、その後3題1時間を辞書なしで解くことで演習形式としました。

 

単語は文章で読む中で覚えたいものですしその方が覚えてることが多いですが、偏りや穴があると怖いので単語帳も……ということで『新独検合格 単語+熟語1800』(第三書房)もパラパラ読んでいました。

新・独検合格 単語+熟語1800 CD付

新・独検合格 単語+熟語1800 CD付

 

日本語が隠せないのが難点なので赤シートを使えるように緑ペンで塗りつぶしました。大学院入試問題とはいえ基礎的な単語が殆どなので実際役に立ちました。

また、文章を読む際は『クラウン独和辞典』(三省堂)を何回も引きました。

クラウン独和辞典 第5版 CD付き

クラウン独和辞典 第5版 CD付き

  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: 単行本
 

マーカーで引いた単語をもう一度引き直すこともしばしば。すぐ覚えろよって話ですが……

 

また大学で開講されていたドイツ語講読演習やTwitterのフォロワーさんに毎週おこなっていただいたドイツ語勉強会によって日常的にドイツ語に触れる機会があったのはとても有難いことでした。

 

専門問題

西洋美術史

これができなきゃお話になりませんから。例年専門問題は芸術学ブロックで共通の記述問題(諸芸術学分野から単語が6つ出題され、そのうち3つを選んで解答する)と西洋美術史独自の英文和訳の2題が課されるA問題と東西美術史で共通の記述問題(東西美術史から8つ単語が出題され、そのうち6つを選んで解答)と画像問題(画像の美術作品の制作年代、制作地、制作者を検討するのが基本)が出題されるB問題が課されていました(今年は試験時間が短縮され、A・B問題が統合されていた)。

 

西洋美術史の基礎知識は大学で開講されていた講義で大まかに身についている筈とはいえ、それ以上に広く深く知っている必要があるため、『西洋美術館』(小学館)で復習しました。

西洋美術館

西洋美術館

  • メディア: 大型本
 

まずノートを取りながら1周、次に大事な人物名と用語を200字でまとめながらまた1周、最後に軽くもう1周……という感じで勉強しました。見開きで1つのテーマを扱っているので分かりやすいですし、画像も多く読みやすい本だと思います。また2周目に人物・用語をまとめた際は適宜インターネットで検索をかけて参照しました。

『西洋美術館』はとても参考になるのですが所謂「現代アート」についての記述は少々古めなので『現代アート事典』(美術出版社)でカバーしました。

ちょっと俗すぎる傾向はありますが、現代アートの主潮流が易しくまとめてあり参考になりました。

また美術史史と関連する思想史については『20世紀の美術と思想』(美術出版社)と『芸術学ハンドブック』(勁草書房)を使って押さえました。

20世紀の美術と思想

20世紀の美術と思想

  • 作者:谷川 渥
  • 発売日: 2002/03/16
  • メディア: 単行本
 
芸術学ハンドブック

芸術学ハンドブック

 

前者の美術史家・思想家の項目は重要人物がほぼ網羅されています。後者は美学/美術史の歴史、絵画の基礎知識、時代区分などの根本が貫かれた本で特に19〜20世紀の美術史家を整理するのに便利でした。

また息抜きがてら『モチーフで読む美術史』(筑摩書房)や『ルネサンスの世渡り術』(芸術新聞社)を読んだり、画家・美術史家のウィキペディアを読んだりしていました。

モチーフで読む美術史 (ちくま文庫)

モチーフで読む美術史 (ちくま文庫)

 
ルネサンスの世渡り術

ルネサンスの世渡り術

  • 作者:壺屋めり
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 単行本
 

ウィキペディアは鵜呑みにはできませんが、「マネとモネは面識がない頃混同され、マネは自分を貶めようとしている奴がいると思い込んだ」とか「『ピーナッツ』にてスヌーピーの家がクリストに梱包されるエピソードを受けて、本当に《梱包されたスヌーピーの家》が制作された」とかちょっとしたエピソードが記憶に残り、そこから芋蔓式に基礎知識も覚えられるため意外と役に立ちました。

画像問題については日頃からよく作品を見ることと多くの作品に触れることが大事かな、と思います。

 

英語

英語問題は美術史やそれに関わる領域の文章からの抜粋のため、問題集や参考書に頼るよりも過去問を解くのがベストだと思います。あとは『速読英単語』(Z会出版)を読み返したくらいですね……

速読英単語1必修編[改訂第6版] (Z会文章の中で覚える大学受験英単語シリーズ)

速読英単語1必修編[改訂第6版] (Z会文章の中で覚える大学受験英単語シリーズ)

  • 作者:風早寛
  • 発売日: 2013/12/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

西洋美術史以外の芸術学に関しては日本美術史と美学の概説書を読んで対策としていました。まあ本番では活かせなかったのですが……

 

とまあ、こんな感じで勉強していました。勉強の質も量も十分だったとは言えないですし、ぐうたらしている時間も結構多かったので正直なんとか間に合った、といったところです。ちなみに面接で筆記試験の点数がもう出ていたのですが、ドイツ語は選択者の中では1番できていたらしいです。嘘だろ。

ひとまず院試関係はここで終わりです。卒論頑張ります。

 

 

ご報告(院試日記 後日譚)

大学院、無事合格していました。準備期間はそれなりにあったはずなのにあっという間に終わってしまい、ちょっと拍子抜けしている面もあります。大事なのはこれからですが、ひとまず来年度から身を置く場所がきちんと決まったことを祝してピルスナーウルケルで祝杯をあげています。

また、院試に際して支えてくれたすべての人に感謝申し上げます。

ひと段落(院試日記 137日目)

夜9時に布団に入ったのに少しも眠れなかった。たぶん、深夜2時までは起きていたと思う。筆記試験が朝9時から始まることを思うと寝坊する危険すらある時間だ。本当は早めに起きて軽く勉強するつもりだったのに、結局朝6時と言う至極真っ当な時間に起床した。
単語をさらいながら濃い目のコーヒーを飲む。緊張で胃液が湧き上がるのをなんとか抑えようとするのだが、結局トイレに駆け込む。まだ試験会場にもついていないというのにこの体たらくである。
7時50分、少し早めに家を出た。曇り空の下の住宅街はやけに静かだった。通りでは高校生の集団が自転車を学校へと急がせているというのに、妙なことだ。おそらく、これはぼくの心持ちのせいなのだろう。ことことと走る阪急電車を横目にぼくはゆっくりと大学へ向かった。跨道橋を超えた先の坂道はいつもより長く思えた。
入室が許可されるのは8時半からだが、15分も早くついてしまった。早く来たのはぼくだけではないらしく、試験会場の講義棟入り口付近にはまばらに人が集まっていた。仕方なく少し離れた芸術研究棟の外階段の下で単語帳をめくった。研究室の同期を見つけて話しているうちに扉が開き、ぼくたちは数ヶ月ぶりに講義棟へと入って行った。

はじめは1時間の外国語試験。西洋美術史学志望者は仏独露伊西のどれかを選択する。ぼくは独語を選択した。
問題配布から開始までの10分少しはすることもないので、とりあえず脳内で2016年の課題曲と自由曲を再生して暇を潰した。
試験開始後、まず驚いたのは試験用紙の入った封筒がセロハンテープで留められており、思いの外開けにくかったことである。次に問題数が例年の3題から2題へ減っていたことにも面食らった。印刷ミスか用紙不足か、どちらかを疑ってしまった。問題は独文和訳のみで内容はそこまで難しく無かったが、そこは独語が苦手なことに定評のあるぼくである。分からない単語はいくつもある。落ち着いて記憶を辿り、文脈を吟味し、単語を分解し、なんとかそれらしい日本語を書いた。ちなみに直前に独語のレッスンで読んだ文に「紙売り」が出てきたのだが、奇跡的というべきか「羊皮紙売り」が文中に出てきたことには思わず泣きそうになった。
ということで、なんとか大きくやらかした印象もなく外国語試験は終わった。解答用紙の回収と確認に時間がかかっており、この時間が院試の中で一番長く思えた。

続いて2時間の専門試験。今年度は例年2コマあった試験が1つに統合されたので形式が分からないという意味で少々緊張した。結局、一部の問題が無くなり圧縮されただけだったのでそこまで恐れることもなかったのだが。
単語問題は易化しており正直助かった。英語は例年並み。骨子は掴めたと信じている。図像解釈問題は正直怖かったが、後で確認したところ友人と解答内容がほぼ一致していたのでひとまず安心した。
2時間はすぐに過ぎた。筆記試験全体を通して大きなミスをしたように感じないのが逆に怖かった。

口頭試問前の休憩時間では昼飯を久々の学食で食べながら、友人と大学院で何を研究したいかお互いざっくりと話した。このご時世故パーテーション越しに、である。

口頭試問は30分間に及んだらしい。個人的にはそんなに長かった感じはしなかったのでびっくりした。内容は筆記試験の結果と今後の進路・人生設計についてであった。どうやら十中八九は大丈夫そうである—結果発表は2週間先なのでなんとも言えないが。
ところで、事前に提出した研究概要についての言及がなかったので恐る恐る聞いたら「またゆっくり話す」とのこと。こってり絞られそうな予感である。

まあとりあえず院試は終わった。結果はまだ分からないが今更することもないのでゆっくり休むとしよう。

宣告を待ちながら(院試日記 136日目)

台風12号は大阪をそれ、東日本方面へと向かっている。院試は傘なしで済みそうだ。
いよいよ、明日なのである。

正直全く勉強が身に入らない。今更何をやっても……と半分諦念を覚えている。専門に関しては古代ギリシャから21世紀までの長い時代のうちどこから出題されるかわからない以上、全方位を完全に武装することは今のぼくには難しい。試験時間はゆとりがあるのでそこまで心配してはいない。問題は分からなければそこまで、という点である。基本情報を抑えて膨らませることのできる問題が出ることを切に祈るばかりである。
語学は語彙は基本的なもので構成されているはずなので落ち着いて解きたい。過去問は文法的な切れ目を見誤ったので注意したい次第。

そうは思っていても不安は募る。今日は一日吐き気に襲われている。落ちてもなんとかなるさ、とそれくらいの気持ちでいることにしよう。単語と用語の確認をしたら早く寝よう—

時の過ぎゆくままに(院試日記 134,135日目)

我が家の壁に掛けてある時計には"As Time Goes By"と書かれている。
時は流れ、いつのまにか季節は秋になった。やっと大好きなベレー帽を解禁できることに喜び、コンビニでクリスマスチキンの予約の紙を見かけて「あまりに早くはないか」と思う今日この頃である。しかしまあ、そうしているうちに冬も来るのだろう。この時期にクリスマスチキンの広告を貼り出すのは一口に時期尚早とも言えないのかもしれない。

ぼくの人生の中でも重要なイベントの一つになるであろう大学院入試はいよいよ明後日に迫った。正直自信は少しもない。直前になると焦りで勉強内容が定着しているのかすらわからない。むしろ早く終わって解放されたいとすら思う。どうしようもないので「落ちても春入試があるし」と思って心を落ち着かせている。

今日の記録
独語の過去問と美術史の復習を只管していた。

カウントダウンがはじまる(院試日記 122-133日目)

悠々とブログを更新している余裕が時間的にも心の上でも無くなっていた。院試まで10日を切り、1週間を切りとしているうちに慌て始め、美術史を必死で詰め込んだり、英語を泣きたい気持ちで読んだり、独語をさらい直したりしているうちに急に糸が切れたように自暴自棄になったりしてモチベーションを保つ難しさを知った。
表向き、ぼくは研究を続けたいと思っているし実際にもその筈なのだ。しかし本当のところは結局社会から逃げたいだけなのではないか?という疑問がここに来て浮上してきた。好きなことで食っていくのは生半可な覚悟ではできない。その覚悟が足りないのではないか、と。
今さら何を嘆いても仕方がないので目の前のやるべきことをやるべきなのは分かっているのだが、結局自分は自分に甘いのである。
まあ5日後にはどうせ全てが終わっているのだから大人しく勉強することにしよう。

今週やったこと(時間を測るのを失念していました)
西洋美術史 イタリア・ルネサンス、北方ルネサンス
・日本美術史 江戸時代を総覧
・独語 和訳問題の2週目
・英語 過去問10年分ほど

人間らしい生活(院試日記 119-121日目)

日を跨がないうちに寝て太陽が東にあるうちに起きるという人間らしい生活を最近できずにいる。そもそものリズムが崩れているせいで早く布団に入ってもなかなか眠れず、深夜に目が覚めてしまう。そしてそのまま起き続け、午前中に仮眠をとる、という不摂生な毎日を送るのが最近の生活であった。しかし今日から学芸員実習のために朝には大阪市内まで出ねばならないのだ。ついては早寝早起きをせねばならない。思うに1日に必須の予定がない日々で自律して行動するのはぼくのようなだらしのない人間には至難であり、日中に何かしらが存在した方が結局自由な時間も上手く使えるのかもしれない。なるほど世の中に予備校が存在する理由も頷けるというものである。

さて、今は実習の昼休み中である。昼休みに軽く勉強できるようにノートを持参していたのだが、一度外に出たら1時間館内に入れないことを出た後で知ったために軽く絶望している。それでブログを書いているのだが全然使用していないはずのスマートフォンの充電が38%まで減っているので何だかなあ……という気分である。明日からはきちんと昼飯を持参すると心に誓った。

今日の記録
美術史(マニエリスム) 1h30m
独文演習 1h11m
英文演習 56m
計 3h37m
ほかに移動時間に独単語を見返すなど