遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

カウントダウンがはじまる(院試日記 122-133日目)

悠々とブログを更新している余裕が時間的にも心の上でも無くなっていた。院試まで10日を切り、1週間を切りとしているうちに慌て始め、美術史を必死で詰め込んだり、英語を泣きたい気持ちで読んだり、独語をさらい直したりしているうちに急に糸が切れたように自暴自棄になったりしてモチベーションを保つ難しさを知った。
表向き、ぼくは研究を続けたいと思っているし実際にもその筈なのだ。しかし本当のところは結局社会から逃げたいだけなのではないか?という疑問がここに来て浮上してきた。好きなことで食っていくのは生半可な覚悟ではできない。その覚悟が足りないのではないか、と。
今さら何を嘆いても仕方がないので目の前のやるべきことをやるべきなのは分かっているのだが、結局自分は自分に甘いのである。
まあ5日後にはどうせ全てが終わっているのだから大人しく勉強することにしよう。

今週やったこと(時間を測るのを失念していました)
西洋美術史 イタリア・ルネサンス、北方ルネサンス
・日本美術史 江戸時代を総覧
・独語 和訳問題の2週目
・英語 過去問10年分ほど

人間らしい生活(院試日記 119-121日目)

日を跨がないうちに寝て太陽が東にあるうちに起きるという人間らしい生活を最近できずにいる。そもそものリズムが崩れているせいで早く布団に入ってもなかなか眠れず、深夜に目が覚めてしまう。そしてそのまま起き続け、午前中に仮眠をとる、という不摂生な毎日を送るのが最近の生活であった。しかし今日から学芸員実習のために朝には大阪市内まで出ねばならないのだ。ついては早寝早起きをせねばならない。思うに1日に必須の予定がない日々で自律して行動するのはぼくのようなだらしのない人間には至難であり、日中に何かしらが存在した方が結局自由な時間も上手く使えるのかもしれない。なるほど世の中に予備校が存在する理由も頷けるというものである。

さて、今は実習の昼休み中である。昼休みに軽く勉強できるようにノートを持参していたのだが、一度外に出たら1時間館内に入れないことを出た後で知ったために軽く絶望している。それでブログを書いているのだが全然使用していないはずのスマートフォンの充電が38%まで減っているので何だかなあ……という気分である。明日からはきちんと昼飯を持参すると心に誓った。

今日の記録
美術史(マニエリスム) 1h30m
独文演習 1h11m
英文演習 56m
計 3h37m
ほかに移動時間に独単語を見返すなど

驟雨と日照の間で(院試日記 117,118日目)

生活リズムが狂う日、すなわち朝寝坊する日に限って可燃ゴミの日なのは何かの因縁なのだろうか。まあこれは単なる言い訳に過ぎない。第一、多少遅く起きてもごみ収集車はまだ来ていないのだから。来週1週間は大阪市内の博物館で朝から研修だというのに、これでは実習をすっぽかしかねない。いやはや、気をつけたいものである。

ここ最近、基本的には晴天ながら突然雨が降ることが多い。先日など郵便局に行くまでのわずかな時間に運悪く驟雨に見舞われた。昨日はに買い物に出ようとしたが、気象レーダーが雨雲の接近を告げていたのを確認してやり過ごした。ただでさえ感染症に対して戦々兢々としているのに、これではおちおち外にも出られない。
さて最近スーパーに置いてある「賃貸マグネットアパート」というガチャガチャをたまに回している。これはアパートの壁面を模した磁石であり、並べればなかなかリアルかつ可愛らしいインテリアとなる。以前は信号機のガチャガチャを回していたことを考えるとこういう類のグッズにぼくが弱いのがよくわかる。ところで昨日は2つ目の階段パーツを引き当ててしまった。普通の壁面が欲しかったなぁ……と思いつつ、なるほど企業の戦略に乗ってしまった気がした。金銭を使うことは一時的な幸福をもたらすが、貯蓄なくして今後の安寧はない。ちょっと気をつけようと思った。

今日の記録
英語演習 1h4m
独文解釈 2h
独語演習 1h12m
美術史(ルネサンス1) 1h27m
計 5h43m

涼を求めてシベリウス(院試日記 116日目)

昨日は夜眠れなかったので朝に仮眠をとって活動した。眠気は残るが午前中に勉強を始められたのでよしとしよう。
日中は研修に必要な学研賠の申請をしたのち研究室に置いていた本を取りに行き、ついでに図書館で本を借りた。パノフスキー、ヴェルフリン、ゴンブリッチ、それからドヴォジャーク(ドヴォルシャック)である。一度に読めるはずはないのでちょこちょこ読むつもりだ。そういえば同じDvořákでも美術史家の方は「ドヴォルシャック」表記が多い一方、作曲家の方は「ドヴォルザーク」表記が多いのは何故なのだろう。最初に普及した媒体の表記によるのだろうか。関係ないが宮澤賢治は「ヅヴォルジャク」と書いていたのも思い出す。

一応今日から9月ではあるが気温が下がる気配はない。少し歩けば額に汗が滲む。そんな中でトートバッグの中に厚い専門書を入れて移動するのはなかなかの重労働であった。家に帰ると手持ちのシベリウス:交響曲第6番を片っ端から再生した。大した数ではないが実は手持ちの交響曲全集はシベリウスとニルセンが多分一番多いため、そこそこ聴き比べができるのだ。
こういう先入見はあまりよくないが、やはりシベリウスの音楽は冬を知っている人のそれだと思ってしまう。これはシベリウスが北欧フィンランドの生まれということのみならず、ぼくが高校時代、昼休みにシベリウスの5番第3楽章を聴いていたらちょうど初雪が舞ってきたというあまりに美しい記憶に引き摺られている部分も否定できない。外はまだまだ夏だが、せめて気分だけでも涼しくなりたいものである。

今日の記録
美術史史 1h33m
独語演習 1h1m
美術史(ルネサンス1) 2h13m
英語演習 1h15m
計 6h2m

やっと尻に火がついた感じがする(おそい)。

そして夏が終わる(院試日記 106-115日目)

米澤穂信はぼくの好きな作家のひとりである。その中でも特にお気に入りの作品が『夏期限定トロピカルパフェ事件』。

夏期限定トロピカルパフェ事件 - 米澤穂信|東京創元社

かわいらしい表紙を纏いつつここまで苦くざらざらとした読了感を抱かせるとは、なかなかにしんどい作品である。そして夏の終わりを思う時、ぼくはいつもこの作品のラストシーンを思い出すのである。その描写は「甘い見た目をした猛毒」というこの本全体の印象と呼応して強い印象をぼくに残しているのだ。

さて明日から9月に入るこの日にようやく独文和訳の参考書『独文解釈の秘訣』2冊を1周した。本当ならもっと早く終えている予定だったのだが後悔しても仕方がないのでこれでよしとしよう。ドイツ語と西洋美術史はこの先復習に徹するとして、日本美術史と美学のさわりをつらまえておかねばならない。今月は博物館実習もあるためハードになりそうだが、着実にこなしたいところ。日記の更新も滞っていたが悪あがきの記録がてら毎日書いていこうと思う。
果たして院生になれるのか—

今日の記録
独文解釈 1h25m
美術史史 2h46m
美術史(ルネサンス1) 1h30m
計 5h41m

出願(院試日記 103-105日)

研究概要と志望理由書を書き終え、20日に無事出願書類を送付した。ひとまず受験前にやるべきことは終えたことになる。プレッシャーに弱いが故、出願したその日は何度も吐き気に見舞われ、口から胃液混じりの泡を吐き、その後泥のように眠った。机の周りには参考資料が散らかっている。とても人が住む環境ではない。その影響は今日まで残り、昼までたっぷり寝てしまった。

さて、研究概要を書き終えた今すべきことは院試の最後の追い込みである。やることとしては
・美術史の復習
・美術作品をよく見る
・英語文献を読む
・独文法の確認
・独文和訳の継続
・日本美術と美学の知識を総覧
あたりだろうか。加えてまだ薄い内容の研究概要を補強するために先行研究を丁寧に読み込もうと思う。
あと1ヶ月。落ちるかもしれないがその時はその時。せいぜい足掻いてみるつもりだ。

本日は研究概要ごときで燃え尽きてしまった。

無駄足(院試日記 98-102日目)

研究概要をあらかた書き上げ、レポートを終わらせてなんとか一息つけそうである。
さて去る日曜日にエンゲルスの『住宅問題』が必要となり、図書館に借りに行くことにした。大学図書館は休みな上に返却を滞納したせいで数日間貸し出し禁止のペナルティを食らっており、どこか他の図書館に行く必要があった。便利な時代になったもので、カーリルを使えば近隣の図書館の蔵書を一括で検索できる。すると、国立民族学博物館にあることがわかった。ぼくはモノレールの駅まで自転車を漕いだ。

国立民族学博物館、通称民博は大阪北部、吹田市万博記念公園内に立地する。博物館という名前ではあるが正式には大学共同利用機関であり、博物館を持つ研究所である。その所蔵品は世界各地から収集した資料である。個人的にその資料で注目すべき点として観光化する以前の民俗資料を大量に含む点、現在の事象も積極的に取り上げている点を挙げたい。トーテムポールとガムランの楽器群とアフリカの仮面とドイツの家具とアイヌの家と毛沢東肖像画とフィリピンの乗合バスが同じ屋根の下に展示されている空間はぶらぶら歩くだけでも圧倒されるしお腹いっぱいになる。
さて、なぜぼくは本を借りにきたのに展示を満喫しているのか。
図書館が休みだったからである。

まさか日曜日に図書館が休みだとは思わなかったのだ。HPは確認していたのだが休館日を見落としていた。いやはや、行き当たりばったりで行動するのはよくない。
弊学は民博のキャンパスメンバーズに加盟しているため無料で入館できる。ただ、モノレールはバカみたいに高額なのだ。最寄駅から万博記念公園駅まで350円。参考までに阪急なら神戸三宮まで行ける値段である。展示を見たので700円をドブに捨てた訳ではないのだが、本来の目的を果たせなかったのは辛いところ。とりあえず地元松本電鉄の超高額料金のことを考えて心を落ち着かせることにした。

エンゲルスについては結局翌日図書館でコピーを取った。しかし別の読みたかった本が借りられていた。早め早めに行動しないとなあ…とつくづく思う。

【記録(にもなっていない)】
大体1日3時間文献をまとめて2,3時間概要を書いている。そんな感じ。