遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

ぼくは恨まない(院試日記Ⅱ 7日目)

今日は昼に修理に出していた楽器を引き取りに神戸に行き、その後ドイツ語の演習を受けていた。修理に出した先のお店は阪神沿線にあるのだが、阪急宝塚線沿線に暮らす自分にとっては実際の距離以上に遠いような気がする。大阪から尼崎、西宮、芦屋を経て神戸に至る阪神間は、海側から山側に向けて阪神、JR、阪急の順に線路が並んでいる。地図上で見ると各線の距離はさほどないように見えるのだが、実際に歩いてみると勾配の影響もあって意外と時間がかかるのだ。梅田で阪神に乗り換えようとも思ったのだが、その場合運賃が片道200円ほど高くなる。結局往復400円をケチって阪急神戸線の駅から歩くことにした。

阪急神戸線沿線は一般に高級住宅地として知られている(たぶん)。この路線に乗るたび、『細雪』の世界観に思いを馳せてしまうのはきっと僕だけではないだろう。武庫之荘、夙川、芦屋川、御影、春日野道など、響きの美しい駅名が多いのも魅力的だ。そこに艶のあるマルーンを纏った列車が颯爽と駆け抜ける様は、謂わば阪神間モダニズムの残り香とでも呼びたくなる。そんな阪急沿線から東海道線を越えて阪神沿線に向けて歩いていくと次第に街の様子が変化していくのが分かる。活気と上品さの双方を備えた商店街を通過すると閑静な住宅街が現れる。その後東海道線を渡り、幅の広い国道を越えると次第に阪神電車の高架が、そしてその奥に工場や倉庫が見えてくる。関西に引っ越して早6年、神戸近辺なぞ行こうと思えばいくらでも行けるし、実際何回も訪ねているはずなのだが、行くたびに何らかの新鮮さを感じるような気がするのである。

こうしたちょっとした街歩きのたびに、気になる食堂や喫茶店、パン屋や洋菓子屋、古本屋等々を見つけるのだが、なかなか行く機会がないまま時間が流れてしまうことも多い。いずれ時間ができたらぶらりと歩くだけのために再訪してみたいものである。

 

今日の神戸は雨が降り出しそうなほど重たい曇天。明日は今年一番の寒波が来るという。

 

今日の記録

独文和訳の練習として適当な独語文献を和訳した。加えて『独文解釈の研究』44~49課。計4時間程度。そろそろ本腰を入れねばと思いつつ一日が過ぎる。