遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

Livskvalitéという言葉

Livskvalité、スウェーデン語で「生活の質」、QOLのことである。特段スウェーデン語にした深い意味はない。一時期スウェーデン語にのめり込んでいたためだ。

 

ちょっと前までは盛んにQOLという語が叫ばれていた。今でも「ていねいな暮らし」という言葉はよく耳にする。よく整理された部屋、美味しくて健康的な食事、スタイリッシュな持ち物。それらは非常に合理的だし、機能主義的美しささえ感じる。

 

とはいえ、それを保つのにはとんでもない労力が僕の場合には必要になる。せっかく頑張って部屋を綺麗にしても、気付くと六畳に重慶大厦を詰め込んだかのような空間が完成している。自炊や洗い物が厭になり、食べたいわけでもないのに安めの外食やコンビニ弁当に頼る。ていねいな暮らしに憧れているのに、そもそもの下地がなっていないのである。

 

それで僕は「できるなら出生からやり直したい」とか、「かわいい女の子とお付き合いしたい」とか言いながら現実から目をそらすのである。

 

以前、担当教員である教授の家にバーベキューをしに行ったことがあった。高台の住宅街に建つその家はミース・ファン・デル・ローエばりの整った近代建築で、土足で上がることができた。長方形のダイニングには無垢材のテーブル。その周囲には本棚が巡らされ、窓からはコナーベーションのランドスケープが一望できた。噫、これをハイ・ソサエティと呼ぶのだ、と僕は溜息をついてしまった。その裏には先生の学者としてのたゆまぬ努力があったのであり、こんなちょっとのことでウジウジ言っている青二才とはわけが違うのである。

 

今日は一玉二十八円のうどんをスーパーで買って食べた。少しは成長したのだと信じたい。