遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

コーヒーが冷める頃(院試日記 3日目)

コーヒーを好むようになったのはいつ頃だろう。小学生の頃から毎朝温かいカフェオレは飲んでいたが、ブラックコーヒーを飲み始めたきっかけは思い出せない。

しかし、高校生になって駅前のタリーズコーヒーに足繁く通うようになったことは一つの原因かもしれない。

 

高校生になって手に入れた「自由」は大きなものだった。通っていた高校の校風のせいもあるが、帰りに友人とコンビニに寄ったりお小遣いを好きに使えたり―といった面での自由は魅力的なものだった。あの頃仲の良い3人で食べたセブンイレブンのおでんや松屋牛めしマクドナルドのチキンクリスプの味は今とは重みが違うのだ。

そうして手に入れた自由の一つがタリーズだった。高校生にとっては決して安くない値段のトールサイズのコーヒーは、ぼくにコーヒーとそれを取り巻く環境を教えてくれた。チェーン店だとしてもぼくにはそれが新鮮だった。それからは1杯のコーヒーで席を確保すると買ったばかりの全音ポケットスコアや文庫本を展いたり、明日に控えた生物のテスト勉強をしたりした。なんでもない日常が、コーヒーとカフェーによってなんとなく特別なものになる気がしたのである。

それで、ぼくの生活にコーヒーは欠かせないものになった。いつしかそこがカフェーや喫茶店でなくとも、コーヒーがあるだけでなんとなく心が落ち着く気がするようになったのだ。

 

ずっと家に籠っていると自然にコーヒーの消費量も増えていく。今日何杯目かもわからないコーヒーはもう冷めてしまった。やはりこれは熱いうちに飲む飲み物だ―ざらりとした渋みを舌に感じながらコーヒーを飲み干す。マグと夜の底を見ながら、2時間遅れで今日を終えることにした。

 

今日の記録

研究関係 1h

独語(主文と副文) 2h

美術史(近代1-18世紀フランスのサロン、ロココ建築、18世紀ヴェネチア美術) 1.5h

英語 2.5h

計 7h