遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

雑記

情報の渦に対峙する(修論日記 6日目)

高校生の頃、バーンスタインの『キャンディード』序曲を演奏したことがある。楽曲の後半、楽器群ごとに拍子が入り乱れ、それぞれがそれぞれのフレーズを反復し、どんどん混沌としていく箇所がある。タクトを執っていた顧問は、それを「証券取引所のテロップ…

考える暇を与えない(修論日記3-5日目)

忙しい三日間だった。月曜日は夜行バスで小倉から帰投した後にオーケストラの練習。火曜日はゼミのあとアルバイトを挟んで研究室で飲み会。水曜日は楽器のレッスン。短い間にタスクを詰め込むと破綻しそうになるが、そうしないと結局何もやらない人間になっ…

まだ生きている(修論日記 2日目)

ことしの「あいち2022」では河原温の作品《I Am Still Alive》が象徴的に用いられている。この作品をはじめ、河原温は単純な「記録」を表現手段とした作品を多く残している。それと多少は関係するのだろう、今回の「あいち2022」には「記憶」を作品の重要な…

哲学的意味(修論日記 1日目)

先日、《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》を実演で聴いた。ケージの代表作と言っていい作品だ。静かなコンサートホール、ピアニストとピアノに向けられたスポット以外が落とされた暗い空間、その中に響く風変わりなピアノの音。どこか…

果てしなき、と言うほどでもない逃走(修論日記 0日目)

学部の後輩が院試に合格したらしい。 つまり、ぼくが院試に合格してから2年が経過したことになる。この2年間でろくに学術的発展に寄与していないのは今までも愚痴混じりに書いてきた通りである。修士課程2年、秋。やるべきことは何かと問われれば修士論文執…

余裕がないのに余裕なふりをする

四月の末から今日に至るまで、某研究費の申請書を教授に添削してもらっては書き直す毎日を過ごしている。文章を書くこと自体は恐らく苦手ではないのだが、申請書のようなフォーマットを書くのはあまり得意ではないのだと認識した。筋道を通せばいい研究計画…

帰郷

二年ぶりの故郷は冬の中にあった。 大阪からおよそ四時間半。新幹線と特急とを乗り継ぐと、盆地の真ん中に人口二十万余の中都市がある。ぼくが高校卒業までを過ごしたのは、そんな都会と呼ぶには大袈裟だが、田舎と呼ぶには大きすぎる街だった。 元日昼頃に…

師走が行く

なんの実感もないまま、12月29日となった。恐ろしいことである。あと今年も残すところ2日なのだ。 私は、本邦の多くの人がそうであるように4月に始まり3月に終わる年間スケジュールで生きている。そのため年を跨ぐことは別に何かの区切りとなるわけではない…

アマオケざっくばらん

世は大アマオケ時代……と言えるかどうかはさておき、本邦には多数のアマチュア・オーケストラが存在する。ここ2年は演奏会の開催どころか練習さえままならぬオーケストラも多かったと思うが、今日も演奏会情報を調べればどこかしらのオケが本番を控え、Twitte…

やりたいこと、やるべきこと

別にタイトルは折木奉太郎の影響を受けたわけではない。一応形の上では新しい生活が始まって4ヶ月経つが、別に見える景色が変わったわけではない。同じ研究室で、そんなに変わらないテーマを掘り下げている。 とはいえあまりにやるべきことをやらなさすぎた…

たまにはゆっくり歩けばよいものを

何をするわけでもなく日付が変わった。ぼくは基本的に家で生産的な活動を行うのが苦手で、これに関しては半分諦めている。では寝ればよいではないか、という話なのだがこれもできない。あと2時間もしたら新聞配達店に出かけ、原付を相棒としてこの国のジャー…

春、理想的な1日

珍しく早起きができた。それだけで気分が良いというものである。 顔を洗い、コーヒーを淹れる。友人に貰った美味しい食パンにマーガリンを塗り、一つにハムとチーズを、一つに砂糖をかけてトースターで焼く。なんと理想的な朝であろうか。 春の日差しが暖か…

新年に寄す

あけましておめでとうございます。怒涛の2020年が終わった。この状況下で帰省するわけにもいかず、そもそも卒論が佳境を迎えているので帰省どころでもなく、越してきて四年目にして初めて大阪で年を越した。昨年は公私ともに忙しい一年だった。 まずこのコロ…

「正しい」イコノクラスム?

英国・ブリストルで奴隷商人の銅像が引き倒されたニュースは我が国でも大きく取り上げられた。その動きはトマス・ジェファーソン像やジョージ・ワシントン像などに対しても広がり、放火や落書きの対象となっている。 肌の色による差別は許してはならないこと…

夏の匂い

昨日のことだ。夕食を終えた後、何をする気にもならなかったので床にひいた長座布団の上に仰向けになり、同心円状の蛍光管をぼんやり眺めていた。ただ何もせず、時間を過ぎるのを待っていたのだ。ふとポール・オースターの『ガラスの街』の最後の章を思い出…

1.5時間

ここ1週間ほど、急に不思議なことが起こるようになった。 睡眠時に1時間半ごとに起きるようになってしまったのだ。そして朝起きると身体は疲れ切っており、だるい中でトーストを焼くことになる。 人間の睡眠の周期は概ね1時間半らしい。どうやらそれは正しい…

4ヶ月と25日

昨日、現実から逃げながら現実と向き合っているふりをしたくて大学院入試の要項や過去問をインターネットで閲覧していた。要項は何度かすでに見ているので今更見る必要もないし、過去問を見たところで語学の問題は著作権の関係で書誌情報しか載っていない。…

気だるい日々

最近、起床と就寝の時間だけで見ればまずまず健康的に過ごしているのだが、日中に何も生み出せていない。院試の勉強も卒論の研究も何も進んでいない。ふとした瞬間に眠くなるしやけに目脂がでる。なんだかとっても無益である。 今日だって決して早いとは言え…

酒を飲んだわけでもないのに二日酔いのような目覚めだ

こんな夢を見た。 ぼくはある建物の2階にいる。その建物の1階と2階は文房具店で、2階はちょっとした日曜雑貨のコーナーと図書室とイベントスペースも併設していた。内装はガラスが多用され、さらに随所にまるでGoogleのロゴのように赤・青・黄・緑の4色があ…

生活が安定しない

朝起きてコンビニに買い物に行く途中、民家に日章旗が掲げられているのが見えた。それで今日が祝日であることに気づいた。 かくように、今日は午前中にも活動しているのだ。しかし人間らしい時間に就寝し、人間らしい時間に起床したというのになんだか身体が…

生きていくのにはお金が必要である

大学院に行くのはいいが学費は出せないと親から告げられた。まあそれはしょうがない。大学4年間を奨学金なしで過ごすことができたのは両親のおかげなので文句はない。大学を卒業した後になっても親の脛を齧るのは世間的に見たらモラトリアム人間にしか映らな…

最近購入した本など

新学期に入り一月近くが経つがその実感はほぼ無いと言ってよい。今年の春は比較的時間があることもあって主にAmazon他で本なりなんなりをいつもよりポチポチしてしまったのでご紹介するとしよう。 書籍 ・バウハウス―その建築造形理念 (SD選書 156)/杉本俊多…

プリンターと雨の話

ぼくの家にはインクジェットプリンターがある。一応数年前の最新機種なので物は悪くない(はず)。これはぼくが引っ越した際に実家のプリンターを買い替え、古いほうを譲り受けたものである。しかし1年以上前にインクを切らして以来置物と化していた。 よう…

バス・トイレ別

体を洗うのが面倒になり、とりあえず今は眠ってから朝にシャワーを浴びることにしよう…と思うことが時たまある。しかしいざ布団に入ると体のあちこちが痒く感じたり、髪の毛がやけにゴワゴワする様に思えたり、目の周りに違和感を覚えたりして結局シャワーを…

コーヒーとイブA錠を支えとする

多分自宅の玄関のドアには見えないスイッチがあって、そこでぼくは頭を切り替えているのであろう。そう思った。 家で勉強ができないのだ。 家の外では身の回りは整えるし、勉強もできるし、完璧に振る舞えているとは言えなくとも社会についていけるだけの器…

春は静かに

およそ一週間ぶりに外に出た。たった一週間、それも比較的自由のきく環境だというのに外出しないだけでここまで心に負担が来るのか、と驚かされた。ちょっとした外出自粛でこれなのだから多分ぼくは潜水艦に乗せられたらすぐに発狂するだろう。『Uボート』と…

ニトリで机と椅子を買った話

B'zに「いつかのメリークリスマス」という名曲があるが、その歌詞に「(抄前)君の欲しがった椅子を買った 荷物抱え電車の中 ひとりで幸せだった」という一節がある。 つまり彼は椅子を抱えて電車に乗り込み帰宅するのである。あり得なくはないがその光景は…

春を前に思うこと

もう春と言ってもいいのだろうが、気持ちとしては春は4月からなのでまだ冬ということにしておく。そもそも信州人の感覚としては3月はまだ寒いし、4月に入っても桜なんぞ咲く予感さえしないのである。まあ、昨今はコロナウィルスの影響で季節の移ろいに想いを…

身に付けなくてよかった能力

もし「お前は努力したことがないのか」と訊かれたら、否定できるかぼくは怪しい。努力らしい努力をしたためしがないのだ。 大学受験で夜十時半まで勉強していた時期はまあ努力していたのだろう。しかし、問題集を完全に終わらせることはできなかった。第一、…

ひとりということ

大学一年生の頃、ぼくはそれはそれは孤独だった。信州の小都市からひとり、遠くの都会に出て、いきなり一人暮らしを始めたのだから。 もともと人と話すのは苦手だ。今まで生きてきて、友達と呼べそうな人は二、三人いるかどうかである。まして見知らぬ土地の…