遥か、もち巾着。

もしもって思ったら何かが変わるわけでもないし

米が尽きた(院試日記 84-97日目)

ご無沙汰しております。 集中講義やらレポートやら院試の研究概要やらでてんやわんやしていたら2週間も更新をしていなかった。いまいちど「日記」の意味を新明解国語辞典かなんかで引き直した方が良さそうだ。 大学で成績証明書と卒業見込み証明書を発行し、…

再起(院試日記73-83日目)

ここ1週間あまり、心がしんどかったのでほぼ勉強ができていません。いやほぼ言い訳になるといえばそうなのだが。 連休で講義がないのも災いして完全に昼夜は逆転し、部屋は少しずつ荒れ、そんな状態なのにほぼ4ヶ月ぶりに演奏会に出かける始末。正直もうこの…

チェコフィルの《我が祖国》で辿るチェコ(チェコスロヴァキア)史

アール・ヌーヴォーの旗手として名高いチェコ生まれの画家・デザイナー、アルフォンス・ムハ(ミュシャ)は《チェコ音楽の殿堂》という絵を残している。 アルフォンス・ムハ《チェコ音楽の殿堂》1929、 977×1229mm、油彩、個人蔵 ベドジフ・スメタナは中央に…

「本格派ピロシキ」(院試日記 72日目)

大阪に越してきた1年目の夏、朝に聞こえる蟬の声が信州のそれとは違うことに驚いた。長野県においては夏の朝に鳴く蟬はみんみん蟬だと相場が決まっていた。ところが関西ではジャアジャアという声が聞こえるのである。ああ、これが熊蟬の声なのか—そう思った…

肝心な時に限って眠くない(院試日記66-71日目)

ここ3ヶ月、スーパーと研究室にたまに行く以外の外出をほぼしていないため世間がどう動いているかこの目で見ていなかったのだが、いざ街に出てみると思いの外日常が回帰していることに驚きを隠せない。駅は平時と同様に人で溢れ、商店街もいつも通り営業して…

丼の中のボロネーゼ(院試日記 63-65日目)

生活が崩れ出すとまず水回りが汚くなるらしい。なるほど、と思った。気づくとトイレには黒ずんだ汚れがつき、風呂場の排水口には髪の毛がこびりつく。ここ最近続いた雨を理由にして洗濯物も溜めてしまっている。食器は溜まってはいないが、それは最近食事を…

お金で手に入る幸福(院試日記 57〜62日目)

人間「明日から頑張ろう」と思っていると10日くらい経っていることがしばしばである。10日というのは1ヶ月の3分の1に相当する。ちょっと前に7月に入ったばかりだと思っていたのに。 勉強時間が足りていないのは明白だが、質も明らかに良くない。鉛筆を動かし…

変容(院試日記 54,55,56日目)

大学図書館の前に1台のごみ収集車が停まっていた。その光景は特段不思議なものでは無いのだが、少し注意して見たところ思わず目を丸くしてしまった。 ごみ収集車に飲み込まれているのは本だったのだ。 そうか、廃棄図書はこうやって処分されていくのか—と思…

焦ったところで(院試日記 53日目)

「7月」という字面は「6月」のそれより夏を感じさせるものだ。6月30日と7月1日との間には大きな空白地帯があるのではないか、という気さえしてくる。しかし時間は一定に流れ、6月29日から30日になるのと同じ具合に当たり前に7月1日もやってくる。 7月初めの…

上半期が終わる(院試日記51,52日目)

朝、小雨だったので傘をさして散歩に出かけたら大雨になってしまった。ずぶ濡れである。いやはや梅雨はほぼ明けたとばかり思っていたのだが。そんなことより今年、つまり2020年が半分終わった。齢を重ねるごとに時間は短く感じるものだが、4月以降ほぼどこに…

半月とマズルカ(院試日記46〜50日目)

ちょっと休んでました。別に勉強をさぼっていたわけでもないし生活が荒んでいたわけでもない。昼夜逆転を改善しようと1週間かけて色々試していたら結果的に更新する時間がなくなっていたのが理由。まあこんなちまちま書いてるブログを心待ちにしている人はい…

ステンハンマル記録帳

保有するヴィルヘルム・ステンハンマル(ステーンハンマルとも)作品のディスコグラフィ的なものです。気が向いたら随時説明・感想も書いていきます。内容について、ほぼ個人の感想となっていることはご了承ください。 なお作曲年はhttps://www.swedishmusic…

1953年、モスクワ 。(院試日記 45日目)

ぼくはモスクワ のバウハウスにいた。1933年にナチの圧力で閉校したバウハウスは戦後、ソヴィエト連邦・モスクワに移り蘇生していた。ぼくはそこに1953年から55年にかけて在籍していた。教員陣はカンディンスキー、モホリ=ナジ、アルバースらのドイツ時代の…

4年間の休息(院試日記 43,44日目)

大学生活の意味を学業や研究以外に費やすことは真面目な学生からしたら許し難いことなのかもしれないが、個人的にはそれはそれでアリだと思う。そしてそんな大学生にちょっとした憧れさえ抱く。 勉強に疲れたので本棚にあった江國香織の『東京タワー』を適当…

「正しい」イコノクラスム?

英国・ブリストルで奴隷商人の銅像が引き倒されたニュースは我が国でも大きく取り上げられた。その動きはトマス・ジェファーソン像やジョージ・ワシントン像などに対しても広がり、放火や落書きの対象となっている。 肌の色による差別は許してはならないこと…

ただいま珈琲(院試日記 41,42日目)

今日は久しぶりに体の痛みが軽い。気怠さは拭えないが肩や腰が比較的楽なのはありがたいことだ。雨上がり、駅へと向かう足取りも軽い。 市役所へ行くのに久々に電車に乗った。自転車でもいけるような距離なのだが、今日はそういう気分だったのだ。阪急電車の…

北大阪奇譚(院試日記 38,39,40日目)

更新サボってました。いや、更新はサボってもいいのだが勉学が疎かになっていた。これはいけない。月曜日に久々に楽器のレッスンがあったり、その疲労で火曜日に寝坊をしたり、色々あった結果1日2,3時間程度の勉強しか出来なかった。いやいつまで言い訳して…

電子レンジで牛蒡を焦がした(院試日記 36,37日目)

まず断っておくと、院試日記のくせにこの週末はちっとも勉強していない。これは1つには歪んだ生活習慣を強制的な睡眠で矯正すると言う目的があり、もう1つには自分の意志の弱さがある。 金曜日はそこそこの時間には床に就き、目覚ましもきちんとセットしたの…

歪み(院試日記 35日目)

漸く院試の日程が公開された。まあ例年通り9月の暮れのことには変わりないのだが、具体的な日にちが目の前に出てくるとより現実味を以て感じられるものだ。なんとなく手帳の年間スケジュールにカウントダウンを書いてみた。残り100日余り。長いような短いよ…

雨音を聞く(院試日記 33,34日目)

近畿地方が梅雨入りしたらしい。たしかに今日は酷い雨だったのだが、湿度と空模様は前から少しずつ梅雨へと向かっていた気がする。梅雨入り宣言はいつだって遅れてやってくるものだ。 本当はスーパーに買い物へ行こうと思っていたがやめにした。距離はそんな…

文化的時間の不足(院試日記 31,32日目)

大きな本屋さんで、あるいは図書館でずらりと並ぶ書架と書籍を見て「世の中にはこんなにたくさんの本があるのに、自分はこの中の1%も読めることもなく生涯を終えてしまうのかもな」と思って悲しくなったことはないだろうか。足繁く通った地元の丸善や市立図…

むし暑い(院試日記 30日目)

目を覚ますといつにも増して心地の悪さを感じた。体のあちこちが疲れで痛むのはもはや当たり前なので諦めている。問題はこの暑さだ。 日中活動している時間は空調を入れれば暑さは凌げるのだが、寝ている時はそうもいかない。お腹を冷やしてトイレに籠るのは…

食の悲しみ(院試日記 29日目)

人間は基本食べることから逃れられないという事実をたまに悲しく思うことがある。美味しいものを食べるのは幸せだし大事なことだとは思うが、一方で我々は「栄養を摂る」という、生きるのに不可欠なことのために食を強いられているとも思えるのである。加え…

カタログとモノグラフの薫り(院試日記 27,28日目)

久々に大学に行った。昨日からやっと学部4回生の登校が許可されたのだ。研究室が使えないと言うのはなかなか大変だった。ぼくの扱っている対象は研究室に元からあるような資料に記載が少ないため、文献調査の用事はそこまでないのだが、高精度なスキャナーを…

発表のあとで(院試日記 24,25,26日目)

昨日は発表だったこともあり、前日から色々と準備をしていたら夜を徹してしまった。もっと早期から用意していればよかったのだろうがギリギリで生きる癖がついてしまっているのは急には直せない。 そんなわけで昨日は発表後そのまま寝落ちしてしまった。ベッ…

パノフスキーには狭すぎる(院試日記 23日目)

人間、集中力の持続には限界がある。その上ぼくはすぐにそれが途切れるので頻繁にブレイクタイムをとらないとやっていられない。悪い事である。 そんな時間があまりにも多いので少しでも果実につなげようと、パノフスキーの『象徴形式としての遠近法』をちょ…

鶏皮エコノミクス(院試日記 21,22日目)

唐突だが、ぼくは鶏皮が好きである。焼き鳥屋に行ったら鶏皮ばかりを食べている。あの食感を何物にも変え難いもので、さっぱりとした塩も甘辛いタレもどちらも美味い。 スーパーだと250グラムで70円前後という破格で売られている。それで見かける度に買って…

さよならをもう一度(院試日記 20日目)

大学の定期演奏会が中止になった。こうなるだろうと予期してはいたもののいざ公式な発表が出されると「嗚、本当になくなったんだ」とショックを受けるものである。ブラームスの2番、吹きたっかたなあ。 しかしまあ疫病がなく、予定通り練習が始まっていたら…

われは両手を広げていたり(院試日記 18,19日目)

昨日はなぜか昼まで寝てしまい、そのまま何も生み出すことなく1日を終えてしまった。ADPとATPをなんか色々する活動を体内で行っていただけの生き物と化していた。反省。 そういうわけで昨日は勉強がろくに進まなかった免罪符というわけではないが、改めて院…

バグ(院試日記 17日目)

暑い上に風も無いのでなんだか負けたような気持ちになりながら空調を入れた。窓は閉め切っているというのにどこからか虫は入ってくるのは不思議なことだ。少し開けた隙に入ってきてしまったのだろうか。パソコンと蛍光灯の間を自由に動くそれを仕留めようと…